9月2日、高校のクラスメートが永眠した。胃がんの終末期で余命が1か月と連絡があったのが7月23日。すぐに見舞いに行き、痩せこけた姿にもかかわらず、しっかりした話しぶりに感心した。
ターミナルケアに移行し自宅で療養することになり、『ここからサバイブしよう。まずは年を越し、1年、3年、気が付いたら10年なんてことは結構あるもんな。』なんて話をしていたのに。
『なぜ、ガンになったのか?』、本人は何度も思ったことだろう。正確な答えは出なくても、一つ二つは思い当たることがあったと思う。その一つは『たばこ』だったと思う。彼はヘビースモーカーだった。
国立がん研究センターのホームページには『日本の研究では、がんになった人のうち、男性で30%、女性で5%はたばこが原因だと考えられています。』とある。日本人の喫煙率は、男性29.0%、女性8.1% (2018年統計) 。男性は減少傾向が続いている。厚労省は『肺、口腔・咽頭、喉頭、鼻腔・副鼻腔、食道、胃、肝臓、膵臓、膀胱、子宮頸部のがんについて、喫煙とがんの因果関係が明らか』と発表しています。
たばこの煙の中には約5,300種類もの化合物があり、その内の約70種類は発がん物質。これらの有害物質は、たばこを吸うと速やかに肺に到達し、血液を通じて全身の臓器に運ばれる。DNAに損傷を与えるなど、がんの発生メカニズムのさまざまな段階へ関与して、がんの原因となります。
さらに、副流煙は主流煙よりも多くの有害物質を含み、受動喫煙と肺がんの因果関係は、科学的に明らかになっています。
喫煙や受動喫煙は、がん以外にも、虚血性心疾患、脳卒中などへの影響もあります。
新型コロナによる死者はこの半年で1,300人ほど。一方、インフルエンザでは、毎年数千から1万人が亡くなっている。そしてガンでは、なんと年間38万人が死亡しています。
コロナを恐れて会食の自粛をしている喫煙者がいます。もしも、感染して死ぬのが怖くて会食を自粛しているのなら、たばこでガンになるリスクも考えるべきです。自粛すべきはたばこの方なのです。
『木を見て森を見ず』という言葉があります。一部分に囚われて全体を見失い、本質を捉えていないことです。新しい生活様式でコロナの感染リスクが下がったとしても、生活習慣病や認知症や寝たきりが増えたり、DVや鬱病、子どもたちの身体と心の発育不全、失業や倒産が増えたのなら、私たちの健康や健全な生活という本質は損なわれてしまいます。
コロナを教訓として新しい生活様式へと移行するのなら、『正しい食生活・適度な運動・十分な睡眠』という健康の三要素のレベルをもっと上げ、喫煙や過労などの阻害要因を下げることを考えて欲しいのです。
家に籠ったりワクチンを待つのではなく、自分や家族の健康レベルを上げるのです。私たちは今、生命を強くするチャンスなのです。
Y.Izumi