入塾
東洋医学の研究家であった故粟島行春先生に執事した、九州大学薬学准教授の島添隆雄先生が私塾を始めることとなり、入塾しました。

黄帝内経は紀元前475年に書かれたとされ、中国(世界)最古の医学書と言われています。
この時代は、もちろん現代のような診断機器も医療器具もありません。その代わり、人が生きていることを「全体的に」捉え、生命の営みを緻密に診ていき、人と自然との関係、臓器同士の結びつき、心と身体との関連から健康長寿を導き出しています。万物の成り立ちや考え方など哲学的な観点も多くある偉大な書物です。
現代に残っているものは、唐の時代(762年頃)に王冰(おうひょう)が編纂したものです。
この漢文の原書を故粟島先生が訳し、解釈を加えたものをテキストとし、今後10年をかけて探求していく気の長い学びです。
幾つかの基本的考え方があり、例えば、全ての事や物、万物は”無形から有形を生じる”こととなり、
太易=未だ氣をあらわさず 太初=氣の始まりなり 太始=形の始まりなり 太素=質の始まりなり
と展開していく、とあります。
病気も初めは”兆し”のような見えないものから始まり、氣が生じ、形が生じ、そのものの個性となる質が生じる。
これは、物質であっても同様だし、生命もそうなのだと思います。
私たちは日々、そうして、氣を生じながら生きているのでしょう。
氣が形になり質を造るのなら、氣を高めれば質も高まるのだろうか。
素問では、黄帝と医師の岐伯との問答を通して、自然に対して人間の対応のし方が述べられているのですが、故粟島先生の日本語訳と解釈が本当に貴重で、大切に理解し、探求していきたいと思っています。
こうして文字にして伝えることで、自分の学びも深まります。今回は本書の概要を述べましたが、次回からは本文の中から印象的な内容を紹介させて頂きます。
Y.Izumi